硫黄島からの手紙 by Clint Eastwood USA 2006
素晴らしい出来の作品だったと思う。詳細を辿れば史実と違う部分もあるだろうがこの作品はドキュメンタリーではなくフィクションであり、日本人以外が観ても共感出来る内容に仕上がっていた。「父親達の星条旗」はとてもたいくつであったがこの「硫黄島からの手紙」はクリント・イーストウッド監督の作品の中では一番の出来だと思う。
内容はいわずもがな、1944年本土防衛最後の砦となった硫黄島での攻防戦である。
個人的には一等兵の西郷(二宮和也)のキャラクターがとてもよかった。こんな戦いやってられるか、アメ公にこんな島なぞくれてやる、と本音をぶちまける。今まで太平洋戦争を題材とした映画で西郷のようなキャラクターはあっただろうか?実際に口にするかどうかは置いておいて、やはり腹の底では西郷と同じ思いが当時多くの人々にあったにちがいない。この役を演じた二宮和也もなかなかだった。
脚本はIris YamashitaとPaul Haggis。ここ近年ポール・ハギスと組んでいるクリント・イーストウッド。彼の演出は実に脚本に忠実だと新聞に載っていた。残念ながらオスカーではサウンド・エディティング以外の賞は逃しましたが個人的にイーストウッドは監督賞に値すると思います。
ところで日曜に行われたオスカー。エディー・マフィーが助演男優賞を逃した事がサプライズだったと各新聞は伝えています。今年のオスカーはエコロジーがモットーだったそうで多くの出席者達はリムジンでなくプリウスで会場に来たとか。そういえばアル・ゴアの「不都合な真実」もベスト・ドキュメンタリーを受賞していました。あとTVの視聴率は進行がスローすぎてかなり低かったとの事です。まあ来年どのような作品がラインナップされるのかが楽しみです。
3 comments:
イギリス人の評判はいかがですか。
日本軍に虐待された元軍人もいるし、かなり複雑なのではないでしょうか?
今年のオスカーは、去年と違い、知っている映画が多いので楽しめました。
ヘレン・ミレンなどは「クイーン」未見なのにすっかりなじみの気分です。フォレスト・ウィテカーの映画もすでに聞いてるし、「良き人の・・」が賞を取ってうれしい。アラン・アーキンの役はとんでもない不良老人でしたが。
去年は「BBM」でかなり精神的に打ちのめされたような気分でしたが、それほどの衝撃を受けた映画はありませんでしたね。
biancaさん、イギリスもアメリカも批評はとてもいいです。NYタイムズの?(名前が出てこない)という評論家は完璧と絶賛してました。けど客足はあまりかんばしくない様子。私は公開日に観たのですがロンドン中心の劇場だったにも関わらず、ガラスカではなかったですが満席とまでは行かず。けど観客は年配の方々の方が多かったです。そういえばアメリカの興行成績でもトップ10には一度もはいってなかったような。ビアンカさんおっしゃるように、日本軍にひどい事をされたからと日本に対していいイメージを持っていないのですとご老人方に言われた事があります。
ことしのオスカーは小粒系が多かったですね。こうみるとやはり「硫黄島・・・」には何か大きな賞を取ってもらいたかったです。
Well written article.
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