by Alison Klayman 2019 USA
極右ニュースサイト「ブライトバート」元会長、そして2016年大統領選のトランプ陣営選挙対策本部長、その後ホワイトハウス首席戦略官であったスティーブ・バノン、このドキュメンタリーはバノンが2017年8月にホワイトハウスをクビになった直後から2018年米国中間選挙そして欧州会議選挙までの活動を追っている。ナショナリズムそしてポピュリストを掲げ米国、ヨーロッパでその活動を広げている。ダースベーダー、黒幕と言われていたバノン、このドキュメンタリーで見る彼の姿は頭脳明晰で操作的、レッドブルを飲みまくるワークホーリック、エスタブリッシュメントを批判しながらも本人自身もプライベートジェットで世界中を駆け回り一流ホテルに滞在し各国の極右とミーティングをこなしている。そこにはある意味親しみを持てる側面も伺える。
この上映の後に監督とプロデューサーの質疑があったのだが、そこでガーディアンの記者はバノンは広い視野そしてマクロレベルで操作できる稀な戦略家だと言っていた。質問の一つにこの作品が世にでることによりバノンの宣伝にならないか?とあった。プロデューサーはかつてバノンが買収した配給会社におりそこから知り合いになったそうだがこの作品の出来栄えにバノンは憤慨し連絡は途絶えているとの事であった。バノンはジョージタウン大学、ハーバードのビジネススクール、投資銀行で働きとエスタブリッシュメントそのものでありながらなぜナショナリズムとポピュリズムを押すのかという疑問を持ちながらこの作品を見ていたが、結局バノン自身のウルトラエゴが起因しているのだろう。この作品にもトランプ政権の減税の恩恵を受ける元投資銀行会長などが多く登場している。バノンは人種差別だと周囲から言われて「自分は人種差別主義ではない」を反論しているが、矛盾を肯定し堂々と反論出来るあたりにこの人物の恐ろしさとしたたかさを見ることが出来る。トランプ、ブレグジット、ヨーロッパでの極右の台頭など、デモクラシーという意味そしてその定義が大きく問われる、政治が大きく揺さぶられる時代に世の中は突入してしまった。
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