2 November 2006

Marie Antoinette

Marie Antoinette by Sophia Coppola 2006 USA

1770年14歳でフランスはルイ16世に嫁ぎ18歳でフランス王妃に即位、その後1793年フランス革命時に断頭台で命を落としたマリー・アントワネットの生涯を綴った作品。ソフィア・コッポラの第3作目である。

ア メリカやイギリスではその衣装が注目されファッション誌ではフランス・ブルボン朝の特集が目白押し。また今年のハローウィンの大人の人気コスチュームもブ ルボン朝衣装だったとか。(そんな奇麗な格好をした人には残念ながら遭遇しませんでした)番宣を見たときからロック調のマリー・アントワネットに興味を 持っていたがどうせガーリーテイストの表面的な内容だろうと思ってみたら、半々だった。

14歳で嫁いだ小娘が豪華絢爛何一つ不自由無い世界に舞い込んだら勿論こうなるだろうと、素直に感じさせた部分は奇麗にみずみずしく演出されていたが、そ れに視点が置かれすぎて見ているうちにだんだんと退屈になった。まあ多分こんな生活をいつも宮廷でしていたら退屈になるんだろうなーと思いながら、後半革 命の時を期待しつつ見続けたがイマイチ深く切り込めずそのまま終わってしまった。感想はというと、少女が抱くアントワネットへのファンタジーをそのまま描 いた作品だった。だから物足りないのよね。しかしながら美術と衣装は素晴らしい。ベルサイユが珍しくロケーションとして撮影を許可し、マノロ・ブラニック がデザインした靴も奇麗で、出てくるお菓子がなんともいえなく美味しそうだった。美術はKKパーレット、衣装はキューブリックの「バリー・リンドン」も担 当したミレーナ・カノネロ。

当時のフランスはとにかくご馳走が凄かったらしい。宴では鶏200羽、キジ200羽、豚200頭、お菓子2000個、ワイン1000本・・・とこんなの序 の口だったそうだ。このマリー・アントワネットとルイ16世の結婚式で財政が悪化したとか。またベルサイユ宮殿ではみな垂れ流しで糞尿をしていたので、素 晴らしい内装で凄いご馳走を強烈な悪臭の中でほおばるという想像を絶する環境で毎晩晩餐をしていた訳だ。これじゃぁファンタジーも何もないですよね。

あ と一つ付け加えるとマリー・アントワネット役のKristen Dunstはよかった。彼女はコッポラの処女作「Virgin Suicide」にも出ていたがなかなかいい使われ方だった。「Lost in Translation」のScarlett Johanssonもそうだがコッポラは若手女優を上手く映し出す才に長けている。まあコッポラが歳をとったらどういう演出になっていくのかが楽しみで す。

5 comments:

Anonymous said...

CCさんお引っ越しのお知らせありがとうございました!
この“マリー・アントワネット”と上の“バベル”は楽しみにしている作品です。ヴェルサイユは二回訪れたことがあるのですが、映画で又観たいですね。今は”鏡の間”修復中で見れないようですが...
トイレを設けていなかったこの時代、匂い凄かったそうですね。糞尿があの華麗なる森やカナルに垂れ流されていたなんて誰も想像できませんが...まぁ昨今では観光客用には各所にバッチしトイレありますので安心でございます。

“バベル”もブラッド&ケイトが夫婦というのがとても興味をそそります。
また素敵な映画紹介してくださいませね。

claudiacardinale said...

margotさん、ようこそお越し頂きましてありがとうございます。ヴェルサイユは一度も行った事がないので次回はなんとか行きたいです。ウィンザーやバッキンガムパラスとは違ったエレガンスさがあるのでしょうね。行ったら過去の事(臭い)は忘れるようにして楽しみたいです。

claudiacardinale said...

Commented by Bianca at 2006-11-02 17:30 x
ソフィア・コッポラは、一作ごとに趣の違う映画をとるのでしょうか。「自殺」だけは見ました。二作目はまだですが興味津津です。それにしても、ソフィアって、年令いくつ?まだそんな憧れを抱くような小娘なんですか?

Commented by miki3998 at 2006-11-03 02:10 x
お久しぶりです。お待ちしていました。

  マロノ・ブラニクの靴をご存知だなんて、claudiaさんて、おしゃれですね。映画を見るとき、ストーリーも大切ですが、おしゃれな衣装やインテリアを鑑賞できるのも魅力のひとつですね。

Commented by claudiacardinare at 2006-11-03 02:28 x
miki3998さん、そんなおしゃれだなんていやいやいや(恥ずかしがってます!)大昔に購入したマロノの靴が一足あるのですが、華奢なハイヒールがあだとなりはいて歩けないのでタンスの肥やしとなってます。この映画奇麗な物を見たいときにはいいですよ。

Commented by claudiacardinare at 2006-11-03 02:31 x
Biancaさん、ソフィアはたしか35歳前後だと思います。今妊娠中だそうです。「一作ごとに趣の違う映画をとるのでしょうか」ですが、どうも同じようなタッチだと思います。「自殺」をごらんになっていたら多分推測可能だと思います。私の友人がソフィアのプロダクションで一緒になったのですが、皆彼女は少女のようだとはいっていました。

Commented by Bianca at 2006-11-03 09:48 x
豊かな時代になったんですねー。フランス革命で、王妃の物質的贅沢に共感する世代が登場するとは!それに[自殺」ってそういう映画だったんですか!すっかり記憶がひっくり返っているようです。

Commented by claudiacardinare at 2006-11-03 14:29 x
Biancaさん、言われてみれば「フランス革命で、王妃の物質的贅沢に共感する世代が登場」も納得です。アメリカでアントワネットがどのような見方をされているのかはあまり知りませんが、評論などをみていると結構好意的です。やはり地元カンヌではいい人マリーアントワネットに描かれているので賛否両論だったそう。ツヴアイクの「マリーアントワネット」や「ベルバラ」で日本ではファンタジーを抱いている人が多そうですが・・・そういえば今のセレブがもてはやされるトレンドと「物質的贅沢に共感」というものがクロスオーバーされている気がします。

Commented by Bianca at 2006-11-12 07:27 x
[virgin suicide]と共通点のある?全くない?中国映画「五人少女天国行」をUPしましたのでご覧下さい。

Commented by claudiacardinare at 2006-11-12 23:37 x
Biancaさん、では早速遊びに行きます!

Anonymous said...

こんばんは!
この作品は、本で読む歴史上の“マリー・アントワネット”ではなく、きっとソフィア風にアレンジしてあるだろうなぁ?なんて思いながら観に行ったら、案の定で、私的には中々楽しめましたわ。ヴェルサイユの景色とあの豪華な衣装だけでも堪能できましたもの。
それと以外にキルスティン、アントワネット良かったですね。

claudiacardinale said...

margot嬢、ツゥバイクの「マリーアントワネット」読まれましたか?なんとなく気になるので読んでみようと思ってます。やはり実写は本物を使っているだけあって凄いですよね。