24 November 2007

Carmen by Bizet, English National Opera

Carmen by Bizet at English National Opera

オペラ「カルメン」を久々に見た。English National Operaはメトロポリタン・オペラやロイヤル・オペラと違い、どちらかというと斬新的な演出を常に試みている。映画監督をオペラ監督に起用するのでも有名。過去にはアンソニー・ミンゲラ、ジュリアン・テーモー、チェン・カイコーなどなど。今回の「カルメン」は「Orlando」のサリー・ポッターが演出、振り付けにタンゴ界の巨匠パブロ・ベロン、セット・デザインはEs Devlinである。歌手はカルメンにAlice Coote、ホセにJulian Guvin。勿論現代に置き換えた設定である。

1幕目はビデオアートをみているような、舞台手前全体に張られたスクリーンにカルメンの過去、そして娼婦宿の映像が映し出され、その透けたスクリーンの後ろで劇が進行するという2重設定。なかなか面白い手法だったが、あまりにも頻繁にこの手法が使われた為、どうちらかというと映像に心を奪われ、実際の劇の中の歌手になかなか同感できなかったのが本音でしょうか。ちなみに右にある2枚の写真は2幕目と3幕目です。1幕目の写真は見つけられませんでした。

2幕目、3幕目は1幕目とは変わって、セットもコロコロ変わる事なく歌手重視でやっと本番という感じになりました。特に3幕目は飛行場の通路を思わすようなセット、そしてフィルムを思わすような流れでこれはなかなか楽しめました。やはりオペラ、勿論セットや衣装なども重要ですがあまりにもこれら要素が重視されると肝心の話そして登場人物が薄れてしまうといういい反面教師的な1幕目でした。

タンゴの踊りは、さすがパブロ・ベロン、素晴らしかった。

肝心の歌手は、今回ENOデビューのカルメン役Alice Cooteは風邪でのどを痛めていたそうですが、後半は脂がのって来た調子でなんとか盛り上げていました。

ENOではオペラの歌詞がすべて英語になっており、私としてはちょっと違和感があり、どちらかというと監督やデザインで面白い人を起用していたらENOに観に行くという感じです。本当に歌を聞きたい時はやっぱり歌手のレベルが全く違うロイヤル・オペラやメトロポリタン・オペラになってしまいますが、演出でみるならENOは断然面白いです。

15 comments:

Anonymous said...

こんばんわ。
ビゼーには親しみがあります。
「椿姫」「アルルの女」「カルメン」と、フランス文学からとったオペラを書いていますし、どれも小中学のころ音楽の教科書に載っており、なじんだメロディがひとつはありますし。しかし、サリー・ポッターも、たしか、かなりな年なのに、勇敢にオペラに挑戦したのですね。そういえば、この前「魔笛」を映画化したケネス・プラナーも、英国の監督でしたね。

claudiacardinale said...

ビアンカさん、こんばんわ。やっぱりフランス文学ってオペラにしやすいのでしょうかね、これ系だと「マノン・レスコー」もあるし。一歩間違えると昼メロですが、これら著書の方は大好きです。ケネス・プラナーの最新作「Sleuth」先週末公開されましたよ。マイケル・ケインとジュード・ロウのサスペンスものです。

Anonymous said...

CCさん、とんだ間違いを・・・
「椿姫」はヴェルディの歌劇、「アルルの女」はビゼーの、歌劇でなく組曲でしたね。優しいCCさんは、すぐに訂正せずに、じっと我慢して気づくのを待っていらっしゃるのね。
この頃ぼんやりの度が進むーーマサカ義母の認知症がうつってるのではないでしょうがーービアンカでした。

claudiacardinale said...

ビアンカさん、アハハッ、そんな事ないですよ。私は「フランス文学」の方に目が行ってしまい細かい事まで気にしてませんでした!(性格そのものデス)
ENOの「カルメン」に戻りますが、英語劇になってしまうとどうもオペラの酔いしれ感が半減してしまうような。やっぱりオペラはオリジナルの言語の方がいいです。随分前「忠臣蔵」のオペラを見ましたが、勿論日本語のオペラ、こうなると今度は何を言っているのかさっぱり聞き取れなかった。やっぱ私はオリジナル言語で聞きながら、必死でくさーく訳された字幕を読んでる方が楽しいです。

処でビアンカさん、ラフマニノフはお好きですか???(映画も文学もどうもロシア系が好みです)

Anonymous said...

なーんだ、気にしていたのは私だけ?
ラフマニノフといえば、「逢びき」と「7年目の浮気」で使われていますね。女性を情熱の渦に巻き込むには、この音楽に限ると、浮気したい男性がデートのために選ぶ曲です。まず「逢びき」があり、その応用で「7年目」につかわれたのではないでしょうか?余にも感情に訴えるので、若いうちでなきゃちょっと体力的に?耐えられないみたいです・・・

claudiacardinale said...

ビアンカさん、面白いですねぇ、「浮気したい男性がデートのために選ぶ曲」とは。どの曲なんでしょう???想像力を働かせてもどうもラフマニノフと浮気したい男性の接点がなかなか見つからない・・・。寒さに凍えそうなあたりなんでしょうか?男性の浮気というと、寒さよりも落ち着かない状態を考えてしまいますが、あっでもやはり寂しいサラリーマンという感じからなんでしょうか?だからラフマニノフ?デートに選ぶ曲だから、寂しさの中のロマンチシズムって処なんでしょうか???それにしても両方とも肉体は女優のソフィアとモンローですよね。これはやっぱり寂しさの中女性に翻弄する男という感じなのでしょうか???????

claudiacardinale said...

ビアンカさん、「逢いびき」はそういえばデビッド・リーンの方でそういえばラフマニノフが使われてたのを思い出しました。おおげさだなぁ〜と思ってたような・・・

Anonymous said...

>おおげさだなぁ〜と思ってたような・・・
CCさん、その通りですわ。英国中流家庭の居間、暖炉の前。クロスワードに夢中な夫の傍らで、地味な容姿の妻が、恋人を思いつつ、蓄音機にかけるレコードが、ラフマニノフのピアノ協奏曲2番第1章(たしか)で・・・しみじみとした雰囲気の映画で、妻の抑えた情熱がこの曲に託されていたのですが・・1945年の制作です。日本の当時の状況と比べ、余にもゆとりがあり、ため息が出ます。
一方「七年目の浮気」はそれから10年後のアメリカで、明らかに、前の映画のパロディだと思います。しかし、アプレで教養の無いモンローが、全然仕掛けた罠にはまらないので、話はどんどんあらぬ方へ・・ついには地下鉄の風を受けてスカートが舞い上がる、超有名なシーンにとなだれこむわけ・・・

claudiacardinale said...

ビアンカさん、モンローってこういう役させるとピカイチですよね。「Something Like Hot」もかわいいし。コメディーをさせると存在が輝きますね。久々に「七年目の浮気」見たくなってきました。

o_pittarison said...

お久しぶりです。コメント、ROM(Read Only Member、古ッ!)してました。
「~ですわ」「~のね」という言い方を文字で見ると妙に色っぽいですネェ(^^);
ラフマニノフの影響ですかな? ンなこたぁないか・・・
私はラフさまは曲によって好き嫌いがあります。映画に使われているのは大好きです。ロマンティック「過ぎる」のが何ともいいですネェ!
「浮気」とはあまり関係ないと思います。

claudiacardinale said...

pittarisonさん、こんにちわ、こちらこそお久しぶりです。お元気でしたか?
私ラフマニノフはダイナミックで+ロマンティックなところが大好きです。ストラビンスキーもチャイコフスキーもロシア人作曲家はこんなロマンチックなものを書き、作家はナイーブですばらしいし、映画もいいし、ロシア人って知的で素晴らしい!と思ってしまいますが、なんか回りのロシア人をみるとデブデブで大酒飲みばかり。ギャップが・・・若い時は皆さん素敵なんですけどねぇ。

o_pittarison said...

>ロシア人って知的で素晴らしい!と思ってしまいますが、なんか回りのロシア人をみるとデブデブで大酒飲みばかり。

アハハハ! 確かにそうでしょうねぇ。ロシアに Vodka は欠かせない。でもこれってロシア人に限らないんじゃないでしょうか? Caucasian はどうも年をとると馬鹿でかくなるような気がします。食べ物のせいですかネェ? それとも寒いからどうしても酒を呑んでうずくまるからか?
ワカリマセン。

claudiacardinale said...

pittarisonさん、ですよね、イギリス人も結構いい体格してます。けどフランスやスイスはどちらかというとスリム系の方が多いような。まあアメリカにはどうやっても勝てないですけど。特に南部はすごいですからねぇ。けどお酒の量を考えると、アメリカ人よりヨーロッパの方が断然凄いです。

o_pittarison said...

>お酒の量を考えると、アメリカ人よりヨーロッパの方が断然凄い

でしょうね。どうしてそうした差が出るのか判りませんが、1つは「アル中」に対する認識の違いがあるんじゃなかろうかと感じます。
アメリカでは「酒とバラの日々」に代表される Alcohol Anomimus の自助運動がキリスト教的を背景として広まっている。ヨーロッパではこの運動はそんなに広がってないように思いますが。定かではありませんが。
要するに「自分のことには責任を持て」ということが徹底しているからじゃなかろうか、と思っています。

claudiacardinale said...

pittarisonさん、おっしゃる通り、「アル中」に対する認識の違いだと思います。よく新聞などで記載されている一日に飲んでいい量って、アメリカとヨーロッパでは大きく違ってます。けどアメリカでも田舎へいくとアルコール依存度が非常に高い。アメリカ人はこうだ!と物事を決めると徹底的にする白黒性質からじゃないかなぁと私は思っているのですが。