10 April 2008

Exodus

「栄光への脱出」by Otto Preminger 1960 USA

イスラエル建国が題材のものが見たくてポール・ニューマン主演の「栄光への脱出」をレンタルしてきた。スイッチ・オンにして初めて気がついたのがアーネスト・ゴールド作曲のテーマ曲。この作品のサウンドトラックだったんだとなにげに納得。今現在この題材で映画をつくるのは政治的にほぼ不可能に近いと思うが、話に聞くと制作当時50−60年代、欧米ではユダヤ人、イスラエルに同情的な傾向にあったそう。だからこの映画を作る事が出来たんだなぁとこれまた妙に納得であった。1958年ベストセラー、レオン・ユリス「エクソダス 栄光への脱出」が原作。

第二次大戦後、解放されながらも事実ヨーロッパで行き場を失ったユダヤ人はイスラエル、パレスティナの地を目指して民族大移動が始まる。当時40年代、パレスティナはイギリス占領下。アラブとの摩擦を恐れた英政府はパレスティナを目指すユダヤ人入植者を乗せた船をキプロスで拘留する。ユダヤ人地下組織リーダーのアリ(ポール・ニューマン)は工作を図りエクソダス号(脱出)に乗り込みパレスティナの地を目指す。一方この工作に気がついた英サザーランド将軍(レイフ・リチャードソン)はエクソダスを阻止するが、エクソダスに乗るユダヤ人のハンガーストライキに断念する。パレスティナの地に辿り着いたユダヤ人達。アラブ人との共存、そしてイスラエル独立テロ、英政府排斥運動、国連のイスラエル/アラブ分割決議と、そこから始まる第一次中東戦争へと続く。

話の中で、ユダヤ人問題になにも関心がなかったアメリカ人未亡人看護婦キティー(エバ・マリー・セイント)がエクソダスに乗る女の子カレン(ジル・ハワース)やアリを通して現実に目覚め関わっていく姿がある。このキティーを通してユダヤ人の歴史というものが語られているような感じであった。イスラエル独立テロに加担する少年の口から語られるユダヤ人強制収容所での想像を絶する体験など、人間の不条理が多く語られている。キティーがカレンを養子にしてアメリカに連れて行こうとするのにユダヤ人医師は「この子達はすざましい体験をした。愛されずに今まで育ってきた、この子は愛情を多大に求めあなたを枯渇させるだろう、それに耐えられるか?」という台詞、またアリが最後まで「アラブとの共存」を叫んでいたのがとても印象に残っている。

まあこの映画は勿論イスラエル側から語られているが、イスラエル建国を知るにはいい映画かもしれない。映画としては大作でかなり興味深く見る事ができた。それにしても、平和な国で生まれ育った人間としては、やはりユダヤ人の歴史はすごいものがあり、またイスラエル/パレスティナ問題も根深いものがあると再度感じさせられた。

8 comments:

Anonymous said...

CCさん、こんにちわ。Biancaです。うちのほうにもおいでいただき有難うございます。(靖国上映新情報はまだです)この映画は6、7年前にレンタルビデオで見たんですが、美少年サル・ミネオ(彼ってジミーに恋していたことがあるんですよね)の収容所での経験談はやはり強烈でした。それに、初めはアラブとも共存していたこととか、英国が反対でイスラエル建国も今思うほど楽ではなかったこととか、たくさん学ぶことが出来ました。それにしても長い映画でした・・・

claudiacardinale said...

ビアンカさん、こんにちわ。エッ、ジミーってジェームス・ディーンですか?(全く違ってます???)そうだったんですかぁ。
いやー私もこの映画で学ぶ事は多かったです。レストランのシーンで金持ち風のアラブ人も食べてたり、街でも至る所に見られたし、ああ初めの頃って共存していたんだと感じました。
たしかに長い映画でした。ここで終わるかな?とおもいきやまだやってました。

Anonymous said...

クラウディアさん、こんばんわ。お察しの通り、ジミーはジェイムズ・ディーンです。わたしったら誰でもそう考えるとばかり思い込んでいて。ファンってバカですね。サル・ミネオとは「理由なき反抗」で共演。ところで「エクソダス」はもともと、ユダヤ民族がモーセに率いられてエジプトを脱出することを言ったのじゃなかったかな、聖書の「出エジプト記」は「EXODUS」というのでは、と、さっき言い忘れましたが、思い出しました。さて今回は名前とURLを入れてみます。

Anonymous said...

こんばんは!
ポール・ニューマン大好きです!
学生時代初めて惚れたハリウッド俳優は彼でしょうか??
そうこの作品かな〜り前にビデオで見た記憶ありです。ポールがかっこ良かったですね。
とても印象的なテーマ曲と、船に刻まれた“EXODUS”の文字も覚えていますね。
CCさんのおっしゃるようにあの時代だからこそ作れた映画でしょうね?
70年代の作品で「さすらいの航海/VOYAGE OF THE DAMNED」というフェィ・ダナゥエイ主演のナチスの迫害を逃れようとするユダヤ船の物語を思い出しました。

claudiacardinale said...

Biancaさん、ちゃんとユーザーネームでコメント入ってますよ!おめでとうございます。

「理由なき反抗」で競演していたとは知りませんでした。というか実はこの作品、大声ではいえないのですが・・・見ていないのです・・・こんなに有名な作品を見ていないなんて、なんか恥ずかしい気がします・・・見よう見ようと思いながらずーっと見逃しています。そういえばジェームス・ディーンってゲイ説もありましたね。

claudiacardinale said...

マルゴ嬢、なんとなくユダヤ系、イスラエル系の映画に凝って来ている感じなのでその「さすらいの航海」借りてみてみます。

ポール・ニューマン渋いですよね。私の知っているポール・ニューマンはどうもレモネードやポール・ニューマン・ドレッシングとどうも食べ物系につながってしまってますが・・。(アメリカではポール・ニューマンのブランドが結構売られてます、レモネードも結構美味しいのです、イギリスでは見かけませんが)けど若い頃のポール・ニューマンはやっぱり渋いです。

Anonymous said...

クラウディアさん、今国境のどちら側にいらっしゃいますか?「靖国」の上映会場が発表されました。詳細はうちへお出でになって!いえ、別にわざわざお出でにならなくても、検索すれば出ていますけどね。フフ…

claudiacardinale said...

ビアンカさん、今そちらのブログにお邪魔しました。帰国前に見てきます!!いやー本当に楽しみ。これで日本に来た甲斐がありました。情報どうもありがとうございました。