4 June 2012

La Grande Illusion

La Grande Illusion by Jean Renoir 1937 France

時間がなくブログを放置しっぱなし、とはいいつつその間に見た作品が溜まりに溜まってしまった。先ずは「大いなる幻影」、デジタル復元版を劇場で見た。ジャン・ルノワールの大作、戦争映画の大傑作。10代の時に見た覚えがあるが内容はすっかり忘れてしまっていた。第一次世界大戦中ドイツ軍に捕虜となったフランス軍労働者階級出身のマレシャル中尉(ジャン・ギャバン)、貴族出身のド・ボアルデュー大尉(ピエール・フレネー)、ユダヤ人銀行家のローゼンタール(マルセル・ダリオ)の3人が収容所から脱走を諦めず何度も図る話しである。捕虜とはいっても、ハーグ陸戦条約の為、勿論それなりの制約はあるが思ったよりも特に将校レベルの捕虜の扱いはいい。捕虜というと「船上に架ける橋」での日本軍がイギリス兵捕虜を酷く扱っているのが直ぐに思い出されるが、それとは全く違っている。この作品はバイアス的また右思想傾向にはなく戦争そしてその背景がリアルに描かれている。敵ながらもお互いに尊敬しあう将校の姿や捕虜の中でも階級の違いや男と女と話しは単に白黒思想では描かれていない。この様な作品を30年代に作るとは、フランスの当時はまだ帝国主義植民地政策であったはずだが成熟した精神論も出て来た時期だったのだろうか。軍国主義の時代においてこの映画が作られた意義はとてつもないものだったに違いない。この手の作品がこの時代に生まれた事に感嘆してしまう。

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