11 January 2014

12 Year a Slave

12 Year a Slave by Steve McQueen 2014 UK, USA

2014年度オスカーやBAFTAの格部門で有望候補の高いスティーブ・マックィーン監督の「それでも夜は明ける」。1853年にソロモン・ノーサップによって書かれた自叙伝がベースとなっている。話しは1841年にNY州サラトガに住みバイオリン奏者であった自由黒人ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)が誘拐され奴隷として南部プランテーションに売却され後冷血プランテーション・オーナーのエドウィン・エップス(マイケル・ファスビンダー)の下で解放されるまで虐待され奴隷として働く内容である。

アメリカ史での最大の汚点とされる黒人奴隷制度はイギリス人バージニア入植から南北戦争、リンカーンの奴隷解放宣言を経て1865年に終わったが、社会的階級においてまだまだ大きな隔たりがあるのが現状である。学生の頃、論議の度に黒人の友人達は祖父母の代ではまだ差別が公認されていたと言っていたのを憶えている。この冬タンザニアのザンジバルに行っていたのだが、ここはアフリカからの奴隷貿易がアラブ人によって初めて行なわれた場所であり、主にコンゴ内陸で拘束された人々が押し込められていた部屋などを見たのだが、あまりにも狭い薄暗い部屋に一体何人押し込められていたのかと思うとその残酷さに胸を打たれた。

話しは映画に戻るが、この作品では奴隷制度という悲惨で過酷な状況以上に、人間が陥るサディズム的な深淵、そしてサバイバルの為にいかなる状況も受け入れ適応していく本能、いわゆる人間の不条理さも写し出している。ノーサップが奴隷となった初期「生き延びるのではなく生を歩みたい」と言っていたが後「生き延びるため」と変化した台詞が印象的だった。

スティーブ・マックイーンは黒人イギリス人であり、この数年で「ハンガー」「シェイム」と素晴らしい作品を出している。ノーサップを演じたイジョフォーやエップスの性的的となっていたパッツチーを演じたルピタ・ニョンゴも素晴らしかったが、マイケル・ファスビンダーが演じたプランテンション・オーナーのエップスはあまりにも強烈であった。

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