28 May 2019

Birds of Passage / 夏の鳥

by Cristina Gallego & Ciro Guerra 2018 Colombia

2019年米国アカデミー賞外国語映画部門ノミネートされたコロンビアの映画「夏の鳥」。コロンビアの砂漠地帯に暮らすワユー族出身、マリファナ取引で財産を築く3代に渡る家族の話である。と聞くと最近多くドラマで見られるパブロ・エスコバルや南米ドラッグカーテルの話にありがちな貧困、麻薬、暴力と血なまぐさいものに思えるがこの「夏の鳥」は麻薬取引に染まっていく一家と他のワユー族達との対立そしてその伝統との葛藤を通してコロンビアがドラッグ密輸の温床となる原点を描き、前者タイプのドラマとは一線を画している。砂漠地帯そしてワユー族が継承する伝統文化が美しく描かれている一方、激しく変わりつつある時代背景にその儚さが映し出される。一家の2代目の妻ザイーダを演じたナタリー・レヴェスの美しさがとても印象的。またそれと相反するかのようにカルミニャ・マルティネス演じる1代目の妻ウルスラの顔にはシワが歴史のように深く刻まれている。

この監督のシーロ・ゲーラ監督の前作「彷徨える河」も早速見てみたくなった次第だ。

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