13 December 2006

The Death of Lazarescu

The Death of Lazarescu by Cristi Puiu 2005 Romania


一人暮らしの62歳Lazarescu(Lon Fiscuteanu)は大酒飲み。ある朝強烈な頭痛と吐き気に襲われる。救急車を呼ぶがなかなか来ない。待っている間隣人に鎮痛剤がないか尋ねるが風呂場で倒れてしまう。漸く到着した救急隊の女性Mioara(Luminita Gheorghiu)に介抱され救急病院に運ばれるが、運悪くその日に起きたバス衝突事故でどの病院も満員、たらい回しにされる。初めの病院では飲み過ぎを理由に医師に三山文句を言われ、2度目に運ばれた病院では緊急手術が必要と診断されるがあまりにもの緊急患者の多さに手術を受ける事が出来ず、次の病院に回される。しかしながらそこで横柄な対応の医者にLazarescuは手術承諾の紙にサインをする事を拒み医師は手術を施す事を拒否する。そして2時間離れた病院に到着した時にはすでに意識をうしなってしまう。


理不尽ながらたらい回しにされるLazarescuを運搬するMioara。彼女は緊急の手術が必要と各病院の担当医に訴えながらもそれがあだとなり無駄な時間だけが経過していく。ただ単にこの経過をストレートに演出する事によって、そこから組織化された社会のシステムの裏側をかいま見る事が出来た。Lazarescuを巡ってこのシステムに関わっている各役所個人の受け止め方が主張されていた。現場の人手が足りない、承諾書がないと何かあったときに訴えられるとかその声は理解出来るものであるが、結局患者を死なしてしまっては元も功も無い。苦しんでいるときに病院をたらい回しにされ、あげくの果て頭上で医師の愚痴を聞かなくちゃいけないかと思うといい健康保険を購入した方がいいのかと真面目に考えたが、いやあまり関係ないのかもしれない。死期は平穏に迎えたいものです。

2005年カンヌ映画祭Un Certain Regard賞(ある視点部門賞:コンペに惜しくは漏れたがアート志向の高い作品を集める)受賞。2006年LA映画評論家協会賞にてLuminita Gheorghiu助演女優賞受賞。

5 comments:

Anonymous said...

こんばんは。
医療システムの問題は、遠いようで身近な問題ですよね。
診る側、診られる側、個々の想いは様々ですが、とにかくシステムが麻痺してしまっていてはどうにもなりません。
私も救急で医療施設を何度か利用したことがありますが、毎回一次診断の重要性を感じました。
この最前線を充実させられれば誤診やたらい回しされることも少なくなるのではと想うのですが・・・
気になるテーマの映画、是非観て見たいです。

claudiacardinale said...

JTさん、救急病院は大変ですよね。待ち時間はとにかく長いし・・・。一度NYCのコミュニティー救急病院に連れて行かれた事があるのですが、それはそれは凄い経験でした。なんというか、サーカス小屋状態、私は大した事はなかったのですがくたくたにへたばってましたが付添人が「いやー凄い人達が沢山いた」と感動していました。やっぱり運ばれるなら私立の救急がいいです。という以上にコミュニティーでも私立でもやはりシステムはちゃんとしてもらいたいものです。

Anonymous said...

こんばんわ。

一度入院というものをしてみたいと思いながら、自分の親が開業医だったため、一度も経験がありません。(盲腸も健在です)東京の下町で、救急病院の受付をしたことがあります。が、あまりの儲け主義にあきれ果てて、すぐ止めてしまいました。とにかく、自分の健康は自分で管理するに越したことはありません。医者に何が分る?です。私の親は、自宅にクコの木を植えて、漢方や民間療法をあてにしていました。

Anonymous said...

CCさん、東京で救急病院の受付事務をやったことがある私(その上、父も叔父二人も開業医)に言わせれば、とにかく健康管理は自分で行い、人に頼らないのが一番です。父など、西洋医学に見切りをつけたか、庭にクコの木を植えて、漢方や民間療法を試みていました。

claudiacardinale said...

biancaさん、ホントおっしゃる通り健康管理は自分でしなきゃダメですよね。この映画でもLazarescuは医者に「過去膀胱を手術した事があるのになんで酒をくらってばかりで体調がおかしくなったら医者に泣きつきくるんだ!」と文句を散々言われてました。やっぱり自己管理ですね。ちなみにクコの木は初めて聞きました。