23 October 2007

Lust, Caution

Lust, Caution by Ang Lee 2007 USA

待望のアン・リー監督「Lust, Caution」を観た。2007度ベネチア国際映画祭の金獅子賞作品。まさにタイトル通り「Lust=欲望、渇望、色欲、情欲、Caution=警戒、警告」の内容だった。ちなみに中国語タイトルは「色・戒」です。


1940年代、日本に占領された中国。イギリス領の香港で抗日運動を訴える舞台上演に情熱を注いでいる若者のシアターグループは、レシスタンス活動にのめり込み、日本軍に加担するMr. Lee(トニー・レオン)の暗殺を企てる。メンバーの一人Wang Jiazhi(タン・ウェイ)はガードの固いMr. Leeを誘い出す為、上級クラスの夫人としてMr. Leeの家に潜り込む。それから4年後、上海で再会したMr. LeeとWang Jiazhiの2人は・・・

とにかく当時の香港と上海が物憂いげに美しく再現されており、この雰囲気というのは西洋と東洋の混じり合った独特なもので、スパイ特に女スパイにとても似合う街となっていました。しかしながら時代は日本軍占領下。食料配給で行列が出来、検問所があり、日本兵専用のダンスホール、料亭がありとデカダンスそのものの街。
この街の人々は生きる為に活動をしており、共にギリギリの線で生きているMr. LeeそしてWang Jiazhiの2人の関係は倒錯的。「愛の嵐」などよくナチの映画でも見られますが、いつ死ぬか分からないという緊張感の中で2人は過激な性欲へと走る。

はっきりいってこの作品には圧倒されました。今現在日本にはこれだけ力強く、知的に、そしてビジョンを持ってドラマを撮れる監督はいるのでしょうか?もしかしたら私が知らないだけかもしれませんが。とにかくこれは久々に監督の力量が感じられる映画でした。「硫黄島」以来かな。

追加:観た人に色々聞いたら賛否両論。ちなみにNYタイムズの評論は「想像力に欠けている」とかなりきつい事が書かれていました。まあ皆が絶賛するより意見が別れている方が面白いという事でしょうか。

4 comments:

Anonymous said...

こんにちはー、みたんですね!
圧倒されましたか~、評価は分かれてるようですが、早く自分の目で確かめたいでっす。

>知的に、そしてビジョンを持って

というCCさんの感想も気になります。
死と隣りあわせで欲情するという二人を、
アン・リー監督がどう表現してるのかも見てみたいです。

claudiacardinale said...

JTさん、早速いっらしゃいましたね。私は結構好きだったんですけどね、この作品。まあJTさんも観てください。感想お待ちしてますよ。

そういえばミヒャエル・ハネケ監督でイザベル・ユペール主演の「ピアニスト」。これ私素晴らしいから観に行けと回りに勧めたら、殆どの人がダメでした。ある友人は見終わった後バーに直行しウォッカ・ショットを飲んで落ち着いたそうです。(大げさですよね)まあ多様性て事でしょうか。

Anonymous said...

こんばんは!
東京は今日も雪がちらちらと舞って今年はホントに寒い冬となっております。
この作品久方ぶりに観た素晴らしい中国映画でしたわ。ハリウッド(アメリカ映画)の監督でもあるアン・リーの素晴らしい才能に脱帽でございます!
>はっきりいってこの作品には圧倒されました...
上同感でございます!!
>当時の香港と上海が物憂いげに美しく再現されており...
そう6月に行った上海の、かれこれ60年前のシーンを見て素敵でしたね。
邦画を観ない私なんですが(過去の邦画には素晴らしいものがたくさんあり観ております)、でも中国(香港)やベトナム映画には素晴らしい作品があって好きですね。
この作品、アメリカンより、東洋の神秘に惹かれるヨーロピアンに受けそうな気がしましたが...

claudiacardinale said...

マルゴ嬢、そうですよね、上海行かれたんですよね、ブログに載っていたのを読みましたよ。うーん、私も行ってみたい!デス。

同じく昔の邦画では見たいのは沢山あるんですけど、最近のはどうも見る気がしないです。まあ3年に1本くらいの割合で興味をそそられるのが出てくるって感じでしょうか。日本の映画界もアート系で優秀な監督が出て来てほしいです。