9 December 2008

W

W by Oliver Stone 2008 USA

現米国大統領ジョージ・W・ブッシュのバイオグラフィー。と聞くとやっぱりコメディー要素が強いだろうと思い見に行ったらやはりそうであった。Wブッシュが題材というとどうもコメディーでしかやりくりできないだろう。それにしてもなぜ今?という感あり。そういえば2004年の大統領選時にはマイケル・ムーアの「華氏911」がWブッシュの再選阻止の為に公開されたのは記憶に新しい。という事でこの作品はオリバー・ストーンからWブッシュにささげる皮肉なオマージュなのでしょうか。まあ個人的意見としてWブッシュは最悪な大統領だったので全く反論はないのですが。

名門一家ブッシュ家の長男として生まれたWブッシュは、幼い頃から父親のジョージに対するコンプレックスで育ってきた。イェール大在学中は秘密結社スカル・アンド・ボーンズのメンバーになり、卒業後はコネで空軍州兵経験、その後ハーバード大でMBAを習得。アルコール依存症でもあった。父親の石油会社に就職し、ローラ・ブッシュと出会い、Born Againクリスチャンとなり、その間に父親は米大統領となり、自身もテキサス州知事となり、米大統領となり、イラク侵攻をすすめるが、WMDはイラクで見つからず・・・と現在に至る内容。結局この作品の中身は?というとお金持ちのぼっちゃんで単純な白黒の性格のボーン・アゲイン・クリスチャンが、父親に認められたいと思うが故に、アメリカそして世界を彼のおもちゃ箱化してしまったというのが簡単な説明でしょうか。

まあ映画自体はいまいちだったのですが、まだ現存するホワイトハウスのスタッフを演じているのを見ているのは面白かった。特にコンザレス・ライスを演じたタンディー・ニュートンは本物とよく似ていた。もう一人チェイニーを演じたリチャード・ドレイフスもなかなか。Wブッシュのジョシュ・ブロリンもいい部分が多かった。それにしても実在する人物を演じるのはとても難しいですよね、本人に似てなくちゃいけない、でもそれ以上に見ている人から共感を引き出さなくては行けないとチャレンジの多い役柄です。

この作品、劇場でわざわざ見る必要もない、夜中暇な時にDVDでみるのには最適なレベルでしょうか。


話は変わりますが、先週カンヌにいたのでミーハー根性でフェスティバル・ホール前のレッドカーペットを撮ってしまいました。そういえばそろそろソダーバーグの「CHE」やガス・バン・サントの「MILK」が公開です。クリント・イーストウッドの「CHANGELING」は既に公開しているので見なくては!ダニー・ボイルの「Slumdog Millionaire」もあるし、なんときっても一番興味のあるのは「The Wrestler」で落ち目のレスラーを演じているミッキー・ローク。アカデミーなどそろそろ賞レースの時期に入ってきたので面白い作品が多く公開される時期になりました、楽しみです。

4 comments:

Anonymous said...

こんばんは。いつも楽しみに拝見しております。コメントは初めてです。今まではcinemaのmembershipがあったのでご意見を参考に観に行ったりしていたのですが8月に出産しその後は映画館は行けてません。でも新作など気になるし(Slumdog MillionaireやCHE…)今後も映画批評を楽しみにしています。
Whitechapelに月曜の初回のみBaby同伴でOKなcinemaがあるのですが、なかなか重い腰が上がらなくて。

claudiacardinale said...

Liさん、はじめまして。「いつも楽しみに拝見しております」とはうれしい限りです。小さな子がいると生活も変りますよね、私の友人は子供が出来てから活字を読む暇もないといって、出産後初めての出張の時の飛行機の中で喜んでHello Magazineを読んでました(笑)odeonにcinema w/babyという日があるそうですね。senior cinema w/ teaもあるとか。是非気分転換にwhitechapelに行ってくださいね。

Anonymous said...

(もしダブっていたら削除して下さい。)ccさん、こんばんわ。オリヴァー・ストーンは、最近ではキューバのカストロを描いた「コマンダンテ」が面白かったです。ネットで読んだのですが、ストーンは、Wブッシュと同じ年齢、同じイェール大卒、強い父親の支配から逃れようと苦労した等々の共通点があるので、むしろ同情的な筆致だと言う声もありますね。日本でも、死に体の麻生首相の、物真似をする芸人が、今頃出てきました。ヒトラーの全盛期に「独裁者」を作ったチャップリンの勇気は誰にでもは持てないようで。
11 December 2008 09:12:08 GMT

claudiacardinale said...

Biancaさん、こんばんは。そうですよね、チャップリンの「独裁者」は1940年作製だからナチ政権のまっただ中ですよね。今に始まった事ではなく欧米には元々実在人物でもちゃかしてつくるという痛烈な風刺の精神が強いんですね。ちょっと話は飛んでしまいますが、アメリカにはSaturday Night Liveというコメディー番組があるのですが、これでサラ・ペイリンのネタを多いにやってました。本人も登場したりと結構笑えました。(アメリカの友人に聞いて私はYou Tubeで見たのですが)まあようするに、政治というものが一般人の生活により密着しているという事なんでしょうかね。