21 November 2016

Francofonia / フランコフォニア ルーヴルの記憶

by Aleksandr Sokurov 2015 Russia

ロシアのソクーロフ監督の新作、聡明な手法で、パリのルーヴル美術館を主人公とした。ソクーロフ監督がインタビュアー、そしてそれに答えるルーヴル。貯蔵される数々の美術品、美術館の歴史、そして美術品の歴史が語られ、まるでルーヴルが生き物のように描き出されている。またその語りがパズルのようにちりばめられ、後半でそれらが一つの絵として、話しが継ぎ合わさって行く。冒頭のシーンで、ソクーロフ監督がSkypeで嵐で転覆の危機にある美術品を載積したカーゴ船の船長との遣り取りがあったが、一体どういうつながりなのかがその時点ではなんのことやらさっぱり想像がつかなかった。ナチ政権下でのルーヴル、美術品を必死に守ろうとする館長ジャック・ジョジャール、そして美術に造形が深くジョジャール館長と同じく美術品を守ろうとするナチス・ドイツの将校ヴォルフ・メッテルニヒトにより美術品がベルリンに流れるのを防ぐ。一方ルーブルの多くの美術品はナポレオン1世が収奪したものと、そこには複雑な歴史がある。
美しく撮影されたルーブルと美術品の数々とソクーロフならではの素晴らしい作品であった。

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