20 March 2017

Elle / エル

by Paul Verhoeven 2016 France

好きな女優イザベル・ユペールの「キャリアでベストな演技」と評価されている「エル」、今年一番期待していた作品であるが、予想通り裏切らずであった。監督はトータル・リコール、ロボコップ、氷の微笑など80〜90年代に数々のヒット作品を作ったポール・バーホーベン。ハリウッドと一線を画したのがよかったのだろう、オリジナルのあるアート映画に仕上がっていた。

フランス国民を恐怖に陥れた連続殺人事件の実行犯の娘であるミシェル(イザベル・ユペール)、自宅で覆面男に強姦されるが過去のトラウマから警察には通報しない。覆面男はミシェルを再度襲うが顔がばれてしまう。犯人を知ったミシェルは、現状を直視し過去を断ち切る事を選択する。

この複雑な主人公ミシェルについて様々なメディアは彼女は結局暴力の被害者なのか、いや自立した女性なのかとその意味について多く取り上げていたが、一筋縄ではいかないすごい精神力を伴った女性像というのが私の印象だ。

それにしてもイザベル・ユペールはこの手の主人公を演じるのが素晴らしく上手い。彼女を初めて好きになったミヒャエル・ハネケの「ピアニスト」では倒錯したピアノ教師を演じていた。

激しい描写を屈しなく描いたこの監督とその女性を素晴らしく演じたイザベル・ユペールがつくりだした最高なサイコドラマだ。

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