15 April 2018

120 BPM / 120 ビート・パー・ミニッツ

by Robin Campillo 2017 France

120 BPMとは1分間120の心拍数、この状態になると冷や汗、体の硬直、頭が機能しなくなり、不安になりと人の体は狂い出す。この映画120 BPMは90年代フランスでエイズ啓蒙活動を行ったAct Upが主題となっている。

エイズの偏見に対して抗議活動を行うAct Up早期メンバーのショーン(ナウエル・ぺレーズ・ビスカヤート)、16歳の時に初めて関係を持ったボーイフレンドからエイズに感染。通常のロビー活動では埒が明かないと血糊を使って製薬会社のオフィスに押し入ったりとショックで注目される方法での活動を推し進めるが要塞は硬い。次第に自身の病状に危機を感じフラストレーションがたまるショーンだがAct Upに参加したばかりのHIVに感染していないゲイのナタン(アーノード・バロワ)と惹かれ合い恋人の関係になる。しかしながらショーンの健康状態は日増しに低下して行く。


当時エイズ患者そしてゲイコミュニティーは差別され、また行政や製薬会社のエイズへの対応遅れの為、多くの者が命を落とした。その多くはゲイの若者達。彼らの限られた時間の中で必死に行政そして製薬会社に訴え、社会に正しい知識を広めようと活動を広げる。その彼らのなんとしてでも生きようとする姿はタイトル通り葛藤でありまた悲しいながらも美しい。当時私はNYに住んでいたが、ここも勿論例外ではなかった。街中至る所でAct Upの活動を目撃し、輸血からエイズに感染した子供の学校登校ボイコットした学校のニュースがTVで流れ、またエイズと共に生き偏見を無くそうと活動している小学校に通う少年にも会う機会が会った。その少年の祖母が「来年のクリスマスも孫と一緒に過ごせるのかどうか分からない」と涙していた事が今でも忘れられない。この120BPMはその当時の社会を映し出した感動的な作品である。監督のロバン・カンピオも当時Act Upに参加していたという、この経験がここまで追求できた素晴らしい作品を作る事が出来たのだろう。昨年度カンヌでグランプリを受賞している。

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