4 May 2018

Under Sandet / Land of Mine / ヒトラーの忘れもの

by Martin Zandvliet 2015 Denmark

第28回東京国際映画祭で最優秀男優賞を受賞、2016年アカデミー外国映画賞にノミネートされたこの作品のスクリーニング、プロデューサーそして地雷除去組織ヘイロートラストの会長の質疑応答が上映後行われた。

第二次世界大戦ドイツ降伏後、捕虜となったドイツ兵はデンマーク海岸沿いに埋められた200万個の地雷撤去に強要される。20歳にも満たないドイツ少年兵連隊を統括するデンマーク軍軍曹カールの葛藤、そして少年兵達の生き様を描いている。

プロデューサーは、もともとこの映画の構想は監督自身の経験からと述べていた。デンマーク人である監督がドイツに住む従兄弟達とデンマークのパブで飲んでドイツ語で会話していた時酔っ払いが来て「ハイル・ヒットラー」と言い寄って来たという。戦後70年以上経っているいるのに人々の隠れた心の中にはまだ戦争の姿が残っている、と感じた監督はこのプロデューサーと共に地元に根ずく史実をリサーチ、そしてこのドイツ兵による地雷撤去を発見したそうだ。デンマークでもこの話は殆どの知られていなかったという。事実この地雷撤去はジュネーブ条約に反しており表立てはボランティア参加と正当化されていたそうだ。また従事したドイツ兵の殆どは15〜18歳とまだまだ子供の年代でその半数以上が命を落としたという。

この映画では戦争という状況を通してかつて敵味方であった両側の心、人間性にフォーカスを置いている。デンマークとドイツは隣同士で文化や慣習など多くを共有している。距離的には近くても精神的には遠い国、日本と隣国との関係も例外ではない。

ヘイロートラストの会長によると、現在でも多くの人々が地雷で命を奪われているという。例えばスリランカでは年間3000〜4000人が死亡もしくは怪我をしているそうだ。実際の撤去もだが啓蒙活動も大切で、またカンボジアなどでは元兵士に撤去作業を訓練して職を与えたりなど、サステイナブルに行なっているという。2025年までには全世界の地雷フリーのロードマップを掲げているそうだ。

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