25 March 2020

L'Eclisse / 太陽はひとりぼっち

by Michelangelo Antonioni 1963 Italy

第15回カンヌ審査員特別賞、アントニオーニの「愛の不毛三部作」の1つ、モニカ・ヴィッティとアラン・ドロン主演の「太陽はひとりぼっち」。婚約者と別れたヴィットリア(モニカ・ヴィッティ)の送る日々は意味もなくただ月日が流れていくだけ、証券マンのピエロ(アラン・ドロン)と恋仲となるが、それもただの表面上の付き合い。。。と話はラブストーリー仕立てなのだが何かが違う、どんよりと倦怠感に覆われた映画なのだ。画面に映し出されるヴィットリアの表情は魂が抜けたようで、彼女の行動は状況に押されてただ単に動かされているかのよう。またピエロの顔も美形がゆえ凍りついたように表情がない。また60年代郊外に多く建てられた無機質で近代的な建築物がロケーションに多く使われている。第二次世界大戦後、世界経済市場でもほとんど前例のない高度経済成長を遂げる近代社会が人間の心に及ぼす弊害がこの作品のバックボーン。それにしてもモニカ・ヴィッティはモノクロ作品に映し出されるとその魅力が倍増する女優だ。

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