1 December 2018

An Inn at Osaka / 大阪の宿

by Heinosuke Gosho 1954 Japan

五所平之助の「大阪の宿」、初めて見る監督である。東京から大阪に左遷された三田(佐野周二)、安下宿を住処とする。この下宿で知り合う女中達、そして街にすむ芸者や人々を通して三田の生き方が変わっていく。この作品はあくまでも普通の人が普通に人生を選択し生きていく姿を描いている。そこにはドラマティックという表現は全くなく、画面に映し出された人々の人生に抵抗しないで生きる姿。女中のおりか(水戸光子)、おつぎ(川崎弘子)、芸者のうわばみ(乙羽信子)皆与えられた境遇の中で生きる。置かれた境遇は決していいものではないが人情で繋がって生きている姿がある。現代社会が失ったお隣近所との繋がり、人情を忘れてない世界がそこにはある。ある一種のリアリズム的な作品。また撮影された50年代前半の大阪の庶民の街が見られる。大阪城から眺める大阪の街は空き地が至る所にありまた空が大部分を占めている。今では高層ビルだらけのコンクリートの街だ。なんかこう、今まで見たことのないタイプの作品であった。

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