「栄光への脱出」by Otto Preminger 1960 USA

イスラエル建国が題材のものが見たくてポール・ニューマン主演の「栄光への脱出」をレンタルしてきた。スイッチ・オンにして初めて気がついたのがアーネスト・ゴールド作曲のテーマ曲。この作品のサウンドトラックだったんだとなにげに納得。今現在この題材で映画をつくるのは政治的にほぼ不可能に近いと思うが、話に聞くと制作当時50−60年代、欧米ではユダヤ人、イスラエルに同情的な傾向にあったそう。だからこの映画を作る事が出来たんだなぁとこれまた妙に納得であった。1958年ベストセラー、レオン・ユリス「エクソダス 栄光への脱出」が原作。

第二次大戦後、解放されながらも事実ヨーロッパで行き場を失ったユダヤ人はイスラエル、パレスティナの地を目指して民族大移動が始まる。当時40年代、パレスティナはイギリス占領下。アラブとの摩擦を恐れた英政府はパレスティナを目指すユダヤ人入植者を乗せた船をキプロスで拘留する。ユダヤ人地下組織リーダーのアリ(ポール・ニューマン)は工作を図りエクソダス号(脱出)に乗り込みパレスティナの地を目指す。一方この工作に気がついた英サザーランド将軍(レイフ・リチャードソン)はエクソダスを阻止するが、エクソダスに乗るユダヤ人のハンガーストライキに断念する。パレスティナの地に辿り着いたユダヤ人達。アラブ人との共存、そしてイスラエル独立テロ、英政府排斥運動、国連のイスラエル/アラブ分割決議と、そこから始まる第一次中東戦争へと続く。

話の中で、ユダヤ人問題になにも関心がなかったアメリカ人未亡人看護婦キティー(エバ・マリー・セイント)がエクソダスに乗る女の子カレン(ジル・ハワース)やアリを通して現実に目覚め関わっていく姿がある。このキティーを通してユダヤ人の歴史というものが語られているような感じであった。イスラエル独立テロに加担する少年の口から語られるユダヤ人強制収容所での想像を絶する体験など、人間の不条理が多く語られている。キティーがカレンを養子にしてアメリカに連れて行こうとするのにユダヤ人医師は「この子達はすざましい体験をした。愛されずに今まで育ってきた、この子は愛情を多大に求めあなたを枯渇させるだろう、それに耐えられるか?」という台詞、またアリが最後まで「アラブとの共存」を叫んでいたのがとても印象に残っている。
まあこの映画は勿論イスラエル側から語られているが、イスラエル建国を知るにはいい映画かもしれない。映画としては大作でかなり興味深く見る事ができた。それにしても、平和な国で生まれ育った人間としては、やはりユダヤ人の歴史はすごいものがあり、またイスラエル/パレスティナ問題も根深いものがあると再度感じさせられた。