17 February 2006

Munich

Munich by Steven Spielberg 2005 USA

現世界情勢に反映して、ブッシュ政権(だけではないが)に失望した映画人達がここ近年多く社会派映画を製作している。「ミュンヘン」はアラブテロそしてモサ ドのテロ要人暗殺に関しての内容だが、今も続くこの大きな問題の底辺にあるものを捉え、アラブ社会vs 西洋社会を公平に描いていたと思った。アメリカにいるとゆがめられおしつけがましい「デモクラシー」にうんざりするが、ヨーロッパ社会が抱えるアラブ系移 民問題も相当なものだと最近のニュースでつくづく感じるようになった。NYにいるとユダヤ人が多いのでパレスティナとイスラエルの話題はつきない。下手に 議論しようものならこてんぱんに論理的にやられてしまう。(この経験数知れず)スピルバーグはこの映画で血で血を制する事の難しさのメッセージを出してい るが、このメッセージの伝達手法はとてもハリウッド的というかストレートなアメリカ的精神で描かれていたように強く感じた。この映画はスリリングなシーン も多いが、エンターテイメントとしてこの題材を楽しんでいいのかどうか違和感があった。
映画としては、ジェフリー・ラッシュがよかった。ダニエル・グレイグは先入観があるからかどうも007ぽく見えてしまった。

1 comment:

claudiacardinale said...

Commented by J.T. at 2006-02-20 22:41 x
確かに、エンターテイメントとして楽しいでいいのかと・・・思いました。
ただ、エンターテイメント性を活かして観客を映画の世界に入り込ませ、殺戮の応酬が、憎しみを増殖させ、拭い落とせない恐怖が心の中まで侵食することを、よりリアルに観客の潜在意識に植え付けられたとしたら、スピルバーグの想いは達成されたのかもしれませんね。
ちょっと、肩入れしすぎでしょうか~
スピルバーグは、あれこれいろんな手法で攻め込んできます。
時々、思いっきり、かすってしまう時もありますが(笑)

Commented by fukatsu at 2006-02-21 17:47 x
パリやNYに在住の方々から見れば、何と能天気な・・・と思われるでしょうが、J.T.さんの意見に賛成です。私の中東での経験も聞いてください。
シリアに2年いる間、パレスティナの人たちによく会いました。勤勉、正直、知的と、好感の持てる人が多かった・・・そして、国境の向うのイスラエルにも、ある種の憧れがあったのは何故でしょうか。軍人と秘密警察が幅を利かせ、うっかりものが言えない環境にいたせいかもしれません。

Commented by claudiacardinare at 2006-02-22 10:54
JTさん、fukatsu さん、
私もこれを書いた後で、手法はなにであろうとなにかしら問題意識に目覚めさせるという事は第一歩とも感じていました。言っている事が矛盾してますね。けど矛盾だらけの中から何かを見つけるというのが私達人間に与えられた課題かもしれませんね。