21 June 2006

家畜人ヤプー

「家畜人ヤプー」沼正三

ようやく読み終わった「家畜人ヤプー」。まあ沼正三はなんと凄い想像力の持ち主!と彼の才能には屈服してしまった。いや、これは才能というよりももっと違 うものから来ていると言ったほうが正しいのかもしれない。70年代に「綺譚クラブ」に連載された「家畜人ヤプー」は日本三大奇書の一つでSM文学の最高峰 と言われている。しかしながら巧みな文筆力によってその領域を凌駕してれっきとした文学の地位を築いている。日本人男性、瀬部凛一郎とドイツ人婚約者クラ ラが、現代の既存概念が逆転した2千年後の世界イースに迷い込み、そしてそのシステムに同化していく内容。この性倒錯化されたイースでの彼らの同化過程が いわゆるSM的心理を基に描写されている。また戦後日本社会が抱かえている西欧コンプレックスも上手く話に結びついて面白いのなんのその。この沼正三は正 体不明の作家らしいが、私の推理では実はこの作家英国人と日本人のハーフではないかと思う。イース人の事細かな心理的描写は、私がアメリカだけに住んでい たら絶対に推測出来ない部分が多いが、イギリス文化を多少理解しているとつじつまがあう事が多い。
まあそれにしてもこれを貸してくれたS嬢はさすが。彼女は世界を股に掛けるSMの女王様(ものすごく人間性溢れるナイチンゲールの様な女性なんだけど、む ちを振っている姿があまり想像出来ない・・・)なんと既に中学のときに「家畜人ヤプー」を制覇したそう。Wow!!これにつづき「ドグラマグラ」と「虚無 への供物」もよろしくね。

1 comment:

claudiacardinale said...

Commented by yochy.1962 at 2006-06-22 12:06
この作品、マンガ化されたものを「チラ見」したことはあります。しかし若かりし頃だったからか、国際的な意味合いなど全然理解せず、ただ「SM」って部分だけを目で追っていたような気がします。
いや、私にはそういう趣味はないですよ、念のため。だから女王様を紹介するなんて、おっしゃらなくてもいいですから(汗)。

Commented by claudiacardinare at 2006-06-22 22:28
yochuさん、あらっ、そうですか、じゃあその気になったらご紹介致します(笑)で小説の漫画ですか?凄そう・・・観てみたい気もしますが、ちょっと恐ろしい気も・・・

Commented by J.T. at 2006-06-24 22:05 x
こんにちは。
以前 claudiacardinareさんに、チャーリーとチョコレート工場のウンパルンパをみて、家畜人ヤプーを思い出したという言葉を聞いて、とても気になってる作品です。
読んでみたいような、みたくないような(笑)
本は何巻ぐらいあるのでしょうか。

Commented by claudiacardinare at 2006-06-24 23:35
JTさん、意志を無視して改造というか品種改良され精神奉仕させられているヤプーのイメージはウンパルンパなんです。私が読んだのは冬幻社版で単行本5巻です。一読してみては如何ですか?(笑)