12 August 2006

Little Fish

Little Fish by Rowan Woods 2005 Australia

現在いる若手女優の中でも抜きん出ている演技派女優ケイト・ブランチェット。彼女はカメレオンのように様々な役柄をこなしている。この「Little Fish」では過去の束縛から生きようとする32歳Tracyを演じている。

シドニー郊外リトル・サイゴンのビデオ屋で働くTracyは5年前麻薬中毒更生病院に身を置きヘロイン中毒を克服した過去を背負っている。しかしながら元 フットボールスターでトレーシーの兄であるLionel(Hugo Wearing)はヘロイン中毒の生活から抜け出せず、トレーシーと共にLionelを気遣うトレーシーの弟Ray(martin Heacherson)はドラッグ・ディーラーへとはまっていく。そしてトレーシーとRayと同居する母親は更生した娘を思い不安な生活をおくる。ある日 トレーシーがヘロイン中毒だった当時のボーイフレンドJonny(Dustin Nguyen)が現れる。彼は更生しストックブローカーとして働いていると皆に告げるが実はRayと共に麻薬販売に携わっていた。

大きな池で泳ぐ小さな魚、沈んでしまうのか浮き上がるのか?ケイト・ブランチェットは回りに翻弄されながらも泳ごうとするこのトレーシーというキャラク ターを十分に演じていた。麻薬が氾濫するこのシドニー郊外の街、そしてそこに住む人間の弱さ、しかしながらその中で生き抜いて行こうとする彼らの生が、ホ ワイト・トラッシュ・カルチャーとベトナム移民カルチャーという異質の融合のバックグラウンドで、か細いながらも強く感じられた。

ホワイト・トラッシュを演じさせるとピカイチなのは「Boys don't Cry」や「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリー・スワンク。ジュリア・ロバーツなんかもトラッシュ系の役がはまっている。「Erin Brockovich」や「Pretty Woman」ではいい味をだしているが、題名を覚えていない映画で修道女役の彼女を見たときはまったく魅力が発揮されてていなかった。オスカー最多受賞の 女優メリル・ストリープも身勝手な女の役をさせるといいがコメディーを挑戦したときはまったくだめだった。俳優にははまり役というのがあるが、まあケイ ト・ブランチェットに関して言えば役を選ばない特異な役者なのだろう。

1 comment:

claudiacardinale said...

Commented by yochy.1962 at 2006-08-14 18:45
よく「役者の魅力」を考えたとき、カメレオンのようにどんな役でもそつなくこなしてしまう役者さんと、これしかできない、こういう役どころしか演じられないという役者さんとでは、もちろんなんでも演じられる役者さんの方が上等なのだけれど、「心に残る」ということになると、後者のほうだったりもします。うん、これは歌手とかにもあてはまることですが。
ケイトさんについては私は存じ上げないのですが、面白そうな映画です。見たいですね。日本公開はまだ? あるいはとっくに終わっている?

Commented by Bianca at 2006-08-16 14:05 x
耳慣れないことば 「ホワイト・トラッシュ」。
「プア・ホワイト」の現代版でしょうか?

Commented by claudiacardinare at 2006-08-16 17:30
yochyさん、そう私もどちらかというと後者の方なんですけど、ケイト・ブランチェットに限ればこのカメレオン技がすごいんです。「Little Fish」はいつ日本で公開なのかちょっとわかりかねますが、彼女の出世作となった「エリザベス」は見応えありますよ。幼い頃と女王になった時のエリザベスの違いがすごい!これDVDで出てます。

Commented by claudiacardinare at 2006-08-16 17:38
Biancaさん、お久しぶりです。お元気ですか?「Poor White」は聞いた事がないのですが多分「White Trash」と同じ意味だと思います。いわゆる白人の低所得階級で、通常トレーラーハウスにすんで異父母兄弟で教育水準が低くドラッグ蔓延というのが典型的な「ホワイト・トラッシュ」です。なんか私無茶苦茶言ってますね・・・けどこの姿が一般的に映画で使われる「ホワイト・トラッシュ」像なのです。「Poor White」もそうですか?

Commented by Bianca at 2006-08-17 10:06 x
お久しぶり。猛暑に耐えて何とか生きています。さて、調査いたしましたところ、似たような意味のようです。どちらも米国南部から出た軽蔑語で、奴隷を3, 4人しかもたず、馬の代わりにラバしか持ってない白人を、大農園の黒人奴隷が、貧乏白人(プア・ホワイト)と言う例が「風と共に去りぬ」にあります。ただ、「くず」とも言っているので、両方使われていたのでしょう。日本ではもっぱら「プア・ホワイト」が流通しています。国語辞典にも「ホワイト」「プア」はそれぞれ、見出しになっているので、なじみの語で使いやすかったから?。ところで、人間を[trash]扱いする感覚って、ちょっと分らないのですが・・

Commented by claudiacardinare at 2006-08-17 18:33
Biancaさん、調べていただき有り難うございます。私も少しWhite Trashについて調べてみたら、これは黒人層が社会で成功しはじめた頃から下層白人層への軽蔑の言葉として出てきた経緯だそうです。そういえば比較的黒人コメディアンがよくこの言葉を使っているような。またこの言葉を使っているのはどちらかというと白人黒人でも若い世代です。まあ「人間のクズ」的意味なのでしょう。

Commented by J.T. at 2006-08-18 00:39 x
Elizabethの時の気品、Banditsでの解き放たれた主婦振り、The Shipping Newsの悪女?、The Lord of the Rings: The Two Towersでの神秘的な雰囲気、Veronica Guerinでのシリアスさ、ラウンジで、従姉妹と会話してるだけなのに存在感のあったCoffee and Cigarettesなどなど、そのカメレオン振りに翻弄されています(笑)
ケイト・ブランシェットのファンとしては、楽しみな作品です。

Commented by claudiacardinare at 2006-08-21 17:53
J.Tさん、こんな素敵なカメレオン女性だったら私も振り回されてみたいです!(笑)役を演じてないときの彼女は至ってノーブルな感じがまたいい。それにしても最近のオーストラリア出身の役者はいいのがそろってますよね。

Commented by Bianca at 2006-08-22 18:15 x
すみませーん、私のことを「カメレオン」呼ばわりしてらっしゃる皆さん、いちど動物図鑑で実物をごらんになってネ。あのおぞましい、イグアナとトカゲのあいの子のような姿、グロテスクな捕食シーン、いつも保身のためビクビク、おどおどして背景にとけこもうとする必死の努力と、きらめく変身ぶりの私の演技力を一緒にしないでいただきたいわ!!  ケイトです。

Commented by claudiacardinare at 2006-08-23 02:06
ケイト様、カメレオンのケイトサマもなかなか素敵です。(笑)是非一度キャットファイトをしているおぞましく女々しいあなた様も見たいです!