22 June 2008

Mongol

Mongol by Sergei Bodrov 2007 Russia

2008年度アカデミー外国映画部門ノミネート、浅野忠信主演の「モンゴル」をみた。ハリウッドが作るエピック物とは違い、話と映像に余裕がありなかなか面白かった。話はチンギス・ハーンの人生前半が占める。

12世紀初め、9歳のテムジンは旅の途中に立ち寄った村で花嫁ボルテを選ぶ。その数日後テムジンの父は敵の部族タルゲタイに毒殺され、テムジンは捕虜となり過酷な幼少期を過ごす。敵地から逃げ出したテムジンは同じ年頃の子供ジャムカに救われ兄弟の契りを交わすが、再度テムジンはタルゲタイに捕まり逃亡と繰り返す。
青年になったテムジン(浅野忠信)は再度タルゲタイに捕まるが再度逃げる事に成功する。そしてボルテ(クーラン・チュラン)と再会を果たすが今度はメルキト族に襲われボルテを奪われる。妻を取り戻す事を誓ったテムジンは兄弟の契りを交わしたジャムカ(スン・ホンレイ)の助けを得てボルテを取り戻す事に成功する。その優秀な戦いぶりそして公平な精神に心打たれたジャムカの部下達はテムジンの元に動く。そしてその後今度は中国の捕虜になりと忍耐の限りの捕虜生活を強いられる。そしてボルテの力で脱出成功した後部族間で争いの絶えなかったモンゴルにLaw and Orderをもたらし、そしてチンギス・ハーンとして名を轟かせ世界の半分を征服するにまで至る。

とにかくモンゴルの自然がダイナミックで素晴らしく映し出されている。そして話はテムジンの人間性を重視した描き方だった。多少ながら戦や彼がいかに勢力を拡大したかという細かい所は伝説的という事で片付けられてしまっていたが、根本的にテムジンの人間性がしっかりと描かれていたのでなぜ人が彼に従うのかは問題なしに納得。このような歴史人物の大作系は欲張って全て描こうとすると話が緻密に構成されあまりにも忙しい内容となりつかれてしまうのだが、この作品ではフォーカスがテムジンの人間性なので全体的に余裕を持って話を進む事が出来ていた様に思う。モンゴル語の台詞でテムジンを演じた浅野忠信もなかなかよかった。

ロシアの監督というのはやはり映像で物語を語るのが上手いです。このセルゲイ・ボドロフ監督の作品はこれが初めてでしたが独自の見せ方で上手い。私が敬愛するタルコフスキーもしかり、ソクーロフにしてもアイゼンスタインにしてもコンチャロフスキーにしても(とロシアの監督はこのくらいしか知りませんが)にしても詩的で素晴らしい!!

それにしてもテムジンの人生の殆どは逃げたと思えばまた捕まりと過酷な捕虜生活。一方妻のボルテもテムジンと再会出来たと思えば他の種族に誘拐され、腹まされ、しかしながら男を利用し生き延びるというたくましさ。それにしてもこんな恐ろしい時代に生まれなくてよかったと時代ものの映画をみるといつも思います。モラルが大きく欠如し、殺し合いだらけで、病気になれば痛み止めもなく、多分この時代に生まれていたら私なんか10分も経たずして自滅しているような気がします。

6 comments:

Anonymous said...

CCさん、こんばんわ。浅野忠信は「母ベエ」ではじめて見て、若さに似ずわれわれ世代にも親しめ、ひょうひょうとした人間性が感じられ気に入りました。セルゲイ・ボドロフ監督、ソクーロフやコンチャロフスキーにも比肩するとのこと、いよいよ見たいものです。しかし、CCさんの「痛み止めも無い」だの、「10分ももたない」と言う感想には、わが身も省みず笑ってしまいました。

claudiacardinale said...

Biancaさん、こんばんは。浅野忠信結構好感度高いですね、それにハンサムだし〜。これから期待出来る役者です。浅野が主演しているから日本各地でも公開される事と思います。チンギス・ハーンもなかなか家族思いのいい英雄でした(けど家を空けたら数年戻らないというメンタリティーでもあります)

痛み止めのない世界は結構つらいですよね。昔は歯痛で自殺までしたとか・・・。公害だのグローバルウォーミングだの色々ありますが現代科学には多大に感謝しております。

Anonymous said...

モンゴル、結構いけてたみたいですね。
若いころは英雄ものが大好きだったのですが、
最近はきっと自分は英雄の末端も末端、
一兵卒であえなく散ってゆくのだろうなと思うとなんとなくむなしくなります(笑)
まあ、それはともかくここは英雄と同レベルに身をおいてテムジンに感情移入してみまし~う。

同じく10分も持ちそうもないJTより。

claudiacardinale said...

JTさん、こんばんは。「一兵卒であえなく散ってゆく」・・・私も拷問なんかにかけられたら筆頭してべらべら喋ってマス。

今テレビで昔の食生活というシリーズを放映してるのですが、これが面白いのです。ビクトリア時代は朝からステーキにソーセージにベーコン、昼はローストビーフにミートパイ(これには全ての獣肉がほぼ原型をとどめて入っている)デザート、午後のティータイムにもサンドイッチにお菓子、夕食では羊の頭丸焼き、野鳥の丸焼きと肉が凄い量で続く続く。でこれをトライしているレポーターがさすが2日目の夜胃痛に悩まされ、当時の医学書に載ってる胃痛の薬(生の牛肉のミンチにお湯をそそいで3分間、その上澄み液を飲む!!!)を飲んでと、凄いのです。なんか変に話がそれましたが、ホント有機野菜が美味しく食べれる時代でよかったです。

Anonymous said...

昔の食生活ですかー、面白そうですね。
しかしビクトリア時代の食事は完全に体調を崩すなぁ(笑)
自分は、朝食べ過ぎると調子が悪くなるので軽くしてるし、
夕食を食べるのはだいたい22時ごろが多いのでなるべく軽いものです。
その代わりランチ充実させるようにしています♪ランチ代が相当かさみますが(汗)
そうそう、この間テレビ局のロケ弁でよく使われるお弁当を食べたんですが、
美味しかったけど味がしっかりついていてボリュームもたっぷりでした。芸能人って体力つかうんですかねぇ?
昔のモンゴルは質素なイメージがあるけど、意外とあちこちから珍しい食材が集まっていいもの食べてたりして(笑)

claudiacardinale said...

JTさん、日本の昔の食生活はベジタリアンですよねぇ。こんなイギリスに比べると健康的そのもの!!よく周りの人達がロケに行くと太ると言って帰ってきます。こっちも一日中ケータリングの机に甘いお菓子やら色々乗っているのでついつい食べっぱなし状態・・・う〜ん、やばいやばいと思いながらもドーナッツに手が伸びています。なんか日本のロケだとカップラーメンなんかも置いてあるそうで、体に悪そうです。