13 January 2012

The Iron Lady

The Iron Lady by Phyllida Lloyd 2011 UK

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」、タイトル通り「鉄の女」と呼ばれる1979-90年の英国首相マーガレット・サッチャーを描いた作品。作品上ではサッチャーを演じたメリル・ストリープがオスカー候補となにかと話題が多いが、サッチャー自身はイギリスにおいては物議を醸し出す存在として扱われる方が多い。

食料雑貨店の娘として庶民層から英国初の保守党党首そして英国首相の座につき、経済的どん底にあったイギリスの立て直しに図る。その手腕は「鉄の女」と言われる様豪腕なもので多くの論争が起こる。

メリル・ストリープの演技は言わずもがな、自身が持つアカデミー賞最多ノミネート16回を更新するのは間違いなし。サッチャーの夫デニスはジム・ブロードベントと回りの役者も固い。


回りのイギリス人の殆どはこの作品を見る気なしと言っている。サッチャーがただ単なる映画の題材というだけでは収まらないようだ。英国の産業をダメにし徹底的に米国的な強者の論理を進めたと辛辣な意見をよく聞く。確かに今の英国は金融サービスに頼って全くという程製造業がない。今でも続くリーマンショックはサッチャーとレーガン政権からの産物である。また格差社会化もである。サッチャーに関してはあまりネガティブな意見を持っていないがレーガンに関しては当時アメリカに住んでいた事もありその現状をまざまざと見て来たのでかなり辛辣にとらえているが、確かに当時イギリスに住んでいれば同じ意見になるだろう。しかしながら一方、インフレを押さえる、経済を豊かにする為に行なった当時の政策は歴史の一環であり、未だに続く経済危機から脱するには、この過去の過ちを繰り返さない事だと思う。という事で単に映画として以上に考えさせられる作品であった。

あと一つ、フォークランド紛争において米国務長官が外交手段でなんとかならないかと説得したサッチャーの返答はアメリカは本土から遠く離れた人口わずかのハワイが日本に攻撃された時東城と外交手段によって平和的解決を図ったか?だまっていろ!であった。本当に言ったかどうかは知らないが妙に納得した台詞であった。

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