18 January 2012

Shame

Shame by Steve McQueen 2011 UK

オスカーを筆頭に賞レース・シーズンに入り次々と話題作が公開されている。その中の一つ、主演マイケル・ファスビンダーが多くノミネートされている「シェイム」。監督はスティーブ・マックウィーン、2009 年の賞シーズンでデビュー作「ハンガー」が数々の賞を受賞し実際作品は見逃しているが、えっあの俳優のマックウィーン??と思ったのでよく覚えている監督だ。

話はNYCに住むセックス依存症の男について。この男ブランドンをMファスビンダー、妹のシシーをキャリー・マリガンが演じている。Mファスビンダーは絶賛もの、とことん束縛され苦しみセックスに逃げ場を求める男を容赦なく演じている。また個人的にキャリー・マリガンの演技も素晴らしく感じた。「17歳の肖像」で映画デビューして以来手応えのある女優として確実にキャリアを延ばしている。彼女の演じる精神不安定なシシーに説得感を得た。

あくまでもダークで厭世的なこの作品には希望の光は全く見えない。見ている途中、この兄弟は一体どれだけ悲惨な環境で育って来たのだろうと思わずにはいられなかった。今まで見た映画で過酷な運命を背負った登場人物というのは、最近Apple TVで見た1940年代ヴィシー政権が行なったユダヤ人迫害を扱った「サラの鍵」に出てくる少女。運命から逃れるにはこの少女には死以外に逃げ道が見いだせなかった。ファスビンダーが演じたこの主人公も背景は見ているものには全く分からないのだが今この瞬間の苦悩というものが切実に感じられたという事で強烈な印象を残している。俳優人の確実の演技さながらSマックウィーンの演出もなかなか、前作「ハンガー」が見てみたい。

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