31 January 2016

Cartel Land / カルテル・ランド

by Matthew Heineman 2016 USA

アカデミー賞ドキュメンタリー部門にノミネートされている「カルテル・ランド」、メキシコの麻薬カルテルに立ち向かう一般人の話しである。汚職などによりほぼ無法状態に近いメキシコで根付いている麻薬組織、彼らの残忍残虐な仕打ちにミチョアンカン州の市民はドクター・ミレレスを中心に自衛団Autodefensasを結成、カルテルに対抗する。一方麻薬の市場アメリカ、メキシコと国境を接するアリゾナ州にはTim "Nailer" Forey を中心に自衛警備隊Arizona Border Recon が発足する。

Autodefensasは勢力を増しカルテルに占領された街や村を奪回していくが、汚職役人、リーダーの暗殺未遂、自衛団になりすまし潜入するカルテルのメンバーと、政府は武装したAutodefensasを法的に認め警察と組むが腐敗した土壌からは抜け出す事が出来ない。一方アメリカ側も一般市民がマシンガンを持ってアリゾナの広大な荒野にある国境をパトロールする姿からアメリカの銃社会の姿を見せつけられる。

このドキュメンタリーを見てるとドラマかと錯覚してしまう程だ。ここ数年の間メキシコやコロンビアなどの中南米のカルテル抗争のニュースが絶えない。またその残虐性が凄まじい。最近メキシコでカルテル撲滅を訴えて当選した市長が就任直後に暗殺された事件もあった。BBCで若い女性のレポーターが、レクリエーション目的で使うドラッグの裏にある事実を追求したドキュメンタリーがあった。コカの葉しか栽培する選択がない貧困農民、支配するカルテル、ドラッグに汚染される貧困層、ドラッグの大きな市場である欧米と終わりのない輪廻を取材していた。この「カルテル・ランド」でも麻薬製造者が取材班に向かって「こんな事はやりたくない。ちゃんとした仕事があったらその仕事につく。お金があったらあんたらの様にどこかに行ったりする事も出来る」と言っていた。簡単ではないが貧困撲滅がこの問題を解決する底辺なのだと思える。


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