25 January 2016

The Danish Girl / リリーのすべて

by Tom Hooper 2016 UK, Germany, USA

1920年代デンマークのコペンハーゲンに住む共に画家の夫婦エイナルとゲルダ(エディ・レッドメイン、アリシア・ヴィキャンデル)。ゲルダが描くバレリーナのモデルの代わりを夫エイナルに頼む事から、エイナルの中に存在していたリリーが目覚める。ゲルダの描いた絵は評判となり、エイナルは女装を続けて行くうちに彼の中のリリーの存在は後に引けなくなる。エイナルは前例のない性別適合手術を受ける事によって本当のリリーになる事を決意する。そしてゲルダはその決意を全面的に支える。

原作はデビッド・エバーショフ著書「世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語」。監督は「英国王のスピーチ」や「レ・ミゼラブル」のトム・フーバー。


とにかくエディ・レッドメインの演技が素晴らしい。エイナルが初めて女性のストッキングに足に通した時の緊張感と興奮が、表情そして指先と全身全霊で伝わってくる。前作はスティーブ・ホーキンスと繊細な演技が素晴らしいレッドメイン、次回は打って変わってギャングなど男を強調した役などを見てみたい。ゲルダ役アリシア・ヴィキャンデル、初めはフリーマインドそして苦悩と変化しながらも夫を支え続ける姿を好演していた。

パリも舞台となってるのだが、20年代は狂騒のパリと言われた時代。シュールレアリズムとアールデコーが素晴らしく人々の洋服、建築物、インテリアなど映像面でもとても楽しめた。多くの芸術家が集まったこの時代のパリにタイムトリップしてみたいものだ。

昨年、人気リアリティーショーのカーダシアン・ファミリーの父親であり元オリンピック金メダリストのブルース・ジェンナーが性同一障害で転換手術をしてケイトリンとなっが事が注目された。とはいえ先進国でも一般の受け入れ状態はまだまだ厳しいものがある。20年代であればなおさら、精神病扱いそのもの。その時代で自己を真の姿を追求し、それをサポートするなどこの2人が面した壁は想像し難い程。リリー・エルベもゲルダも実在人物だが彼らの勇気には脱帽である。

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