
作品の半分以上はグラスが自然界の中で生き抜く姿にフォーカスしている。動かぬ体、容赦ない冬山、先住民族からの攻撃と次から次へと試練が目の前に立ちはだかる。一方その背景に写し出される雄大な大自然。この対比が生と死を際立たせるメタフォーとなっている。イニャリテュ監督の得意ともいえる、これでもかと主人公を叩きのめす手法はこの作品でも顕著に現れており、多少ながら飽食感気味と感じてしまうのは私だけだろうか。それにしても雪山の映像はとても素晴らしかった。開拓される前のアメリカには素晴らしい自然があったのだと実感させられる。
役者に関しては、人間が矮小なジョン・フィッツジェラルドを演じたトム・ハーディーが印象的だった。グラスを演じたレオナルド・デカプリオは今年の賞レースを総なめにしているがそこまで素晴らしいと感じる事が出来なかった。確かにあの過酷ともいえるロケーションでの演技は役者魂が感じられるが単に演技として見るならやはり「リリーのすべて」でリリーを演じたエディ・レッドメンの方に軍配があがる。まあ賞は同業者達の投票によるものだから、その演技以外での要素も入ってくるのだろう。
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