
題材は長期監禁事件と凶悪でむごいものだが、素直な子供のジャックの視点を中心に物語が語られ、また意志の強いママという存在により、悲壮感というよりも未来に向かって行く2人の姿が印象的に描かれている。90年代後半にユダヤ人強制所の親子の話し「ライフ・イズ・ビューティフル」があったが、過酷な状況での大人と子供の違い、子供の視点からとコンセプト的に「ルーム」と似たものがあるが、子供の視点が大人の観点から描かれた様に感じ又ロベルト・ベニーニの大袈裟な演技でどちらかというと偽善的で好きではなかったが、この「ルーム」は現実がベースでありジャックの視点が大人によって勝手に作られた子供の世界とは感じられず、しかしながら大人とは違う子供の捉え方に真実感があった。将来このジャック親子が面する多くの問題というものも感じずにはいれらなかった。
オスカーをはじめ数々の賞でブリー・ラーソンが主演女優賞を受賞している。母としての力強さ、しかしながら子供を中心とし全面にでない控えめな演技がとてもよかった。またジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイ、幼い歳でいかにしてこの役を演じる事が出来たのかとビックリしてしまう。
この原作「部屋」はオーストリアで起き世界を震撼させたフリッツル事件が元になっているという。それ以前にオーストリアで起きた別事件の被害者やアメリカでの被害者が長期監禁の手記を出している。生きて行くために必要な過程なのかもしれないが体験を語るというのはものすごい勇気だ。
No comments:
Post a Comment