21 April 2016

Dheepan / ディーパンの闘い

by Jacques Audiard 2015 France

2015年カンヌ・パルムドール受賞作品。評価の高かったイタリア勢の作品を抑えてパルムドールを受賞したジャック・オーディアールのこの作品で大きく批判が起ったという。スリランカ内戦によってフランスに亡命したタミル人疑似家族、元兵士のディーパン、若い女性のヤリニ、そして9歳の少女イヤラル。ディーパンはパリ郊外のギャングがはびこる低所得集合住宅街の住み込み管理人として職を得、赤の他人同士で成るこの一家の生活が始まる。

亡命するためにその場しのぎで作られたこの一家、全く異なるバックグランドそして見ず知らずの間柄、だが一つ共通しているのは平和を求め安泰の地で生活する事。バラバラであったこの3人だが、新しい環境、そして再度迫り来る恐怖と暴力を前に心を開き始める。この過程での3人の心情が丁寧に描かれ、またとても真実味を帯びていた。しかしながらハッピーエンドとなるラストシーンの展開はあまり納得が行くものではなかった。もしかしたらこの結末は理想の解釈であって見ている側に疑問をわざともたしているのかもしれない。

ヨーロッパの移民問題はEUを揺さぶる大きな問題と化している。先週リビアからの移民を乗せたボートが沈没し死者は500人にのぼるというニュースが昨日あった。春になれば地中海が穏やかになり海を渡る移民の数は多くなるだろう。ギリシャに渡ったシリアなどからの移民がトルコに強制送還されている。EUだけでなく国際社会が一体となった弱者を保護する包括的システムが必要とされている。



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