12 December 2016

In the Heat of the Night / 夜の大捜査線

by Norman Jewison 1967 USA

この「夜の大走査線」は当時公民権運動が盛んであったアメリカで大きな反響を得た。アメリカ南部ミシシッピーの田舎町スパルタで夜中ビジネスマンが殺害される。たまたま同じ時刻スパルタの駅で電車を待っていたヴァージル・ティプス(シドニー・ポワティエ)は人種偏見の強いこの地でよそ者の黒人であるがゆえ殺人犯として署に連行されるが、ティプスはフィラデルフィア警察で一番の殺人捜査官であった。ティプスは署長のビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)とこの殺人事件捜査に加わる。

人種偏見だらけの田舎町、白人主義の価値観が自然と根付いているスパルタの街、この街の署長ギレスピーも典型的なレッドネックだが、捜査が進むにつれギレスピーとティプスの間にある軋轢が狭まって行く。一見ギレスピーの偏見に比重がおいてあるように見えるが、ティプスの中にある憎しみと偏見も見せる事によって、単に人種差別だけではなく同じ人間同士のぶつかり合いが描かれている。これがこの映画の深みを出している。

この映画が製作されたのが67年、この50年間の間に人種差別はなくなってきたように思えるが、この数年間でまた亀裂が広がり、パンドラの箱を開けたトランプ政権誕生によりヘイトが加速され、欧州でも極右の広がりを見せている。この作品をまたみるべき時代がきたと思うとむなしいものだ。

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