9 February 2017

Manchester by the Sea / マンチェスター・バイ・ザ・シー

by Kenneth Lonergan 2016 USA

突然兄が亡くなりニューイングランド・マンチェスターに向かうリー・チャンドラー(ケーシー・アフレック)。兄の一人息子16歳のパトリック(ルーカス・ヘッジーズ)を気遣いながら葬儀の手配など手配する中、兄がパトリックの保護者としてリーを指命していた事を弁護士から聞く。この出来事を通してマンチェスターを去ったリーの過去が徐徐に明らかになっていく。

一人の人間が背負うにはあまりにも悲惨な過去を持つリー。ニューイングランドの典型的な労働者階級が住む街で、登場人物の多くも厳しい人生を送って来た。と書くと暗い重い内容かと思えるが全く違った印象を残した作品であった。悲惨な状況でもクスッと笑える事はあるもので、それがこのティーンエイジャーのパトリックで描かれている。父親の死にあまり実感できていないのか無意識に現実を拒否しているのか分からないが、通常の生活、ガーフルレンドや友達と共有する時間をティーンならではのユーモアで描いている。またリーを演じたケーシー・アフレック、そして出番は少ないがリーの元妻ランディを演じたミッシェル・ウィリアムスも印象的であった。厳しい人生を送る人々を上手く丁寧に描いたためにその人達の弱さでもあり暖かい部分が反映された良質な作品であった。

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