29 May 2017

The Handmaiden / お嬢さま

by Park Chan-wook 2016 Korea

映画館での予告を見ただけであまり内容を調べずに見に行ったこの「お嬢様」、「オールド・ボーイ」のパク・チャヌクが監督なので過激になるのは予測していたが、それを大きく越え度肝を抜く作品であった。

1930年日本の統治下にある韓国、莫大な財産の相続権を持つ令嬢、秀子(キム・ミニ)から財産をだまし取ろうとする詐欺師の藤原伯爵(ハ・ジョンウ)、そしてその計画に加わり秀子のお付きとなるスッキ(キム・テリ)。計画は上手く運ぶ様にみえるが‥。

原作イギリスのミステリー作家サラ・ウオーターの「荊の城」を日本の統治下にある韓国に置き換えた。奇想天外なひねりが多く盛り込まれぐんぐんストーリーに引き込まれて行く。また大胆で過激なベッドシーンを強調した演出により、緊迫感が生まれ話しにより現実味を与えていた。

大胆なベッドシーンを盛り込む事によって成功した作品で浮かぶのは、2013年パルムドールを受賞したアブデラティフ・ケシシュ監督の「アデル、ブルーは熱い色」。主人公2人の若さそして純粋さが強調された。ベネチアで金獅子賞を受賞したアン・リー監督の「ラスト・コーション」では切迫した人間の精神状態が表された。過激とは行かないが当時スキャンダルになったのは、ベルトルッチ監督の「ラスト・タンゴ・イン・パリス」やリリアーナ・カヴァーニ監督の「愛の嵐」。この2つは時代のアイコンと化し、現在の流れとは多少異なる甘美なもの。日本でも神代辰巳監督は日活ポルノ時代に「赫い髪の女」や「四畳半襖の裏張り」など数々の秀作を出している。性描写を多く用いる事により、作品がチープになるか昇華されるかが作品の運命の分かれ目なのだろう。

No comments: