7 October 2017

Sheikh Jackson / シャイフ・ジャクソン

by Amr Salama 2017 Egipt

エジプトの監督アムル・サルマの新作「Sheikh Jackson」。マイケル・ジャクソンの死によって自己認識の危機に陥り聖職者である事の矛盾に耐えられなくなる若いイスラム教指導者(Ahmad Alfishawy) を描く。

幼少期に母を亡くし、マッチョでぶっきらぼうな父親(Maged EL Kedwany) に育てられたこの指導者。父は愛人をつくりボディービルに専念、一方思春期の指導者(Ahmed Malek)はマイケルジャクソンにハマり、同じくマイケル・ジャクソンにハマっている同級生の女の子に取り入る為ムーンウォークを覚えマイケルジャクソンとそっくりなヘアースタイルをし服装を真似するのであった。それから15年後若くしてイスラム教指導者なったがマイケル・ジャクソンの死をきっかけに人生を振り返り本当の自分を見つける新たな一歩を踏み出す。

2009年当時そして現在、西洋化したエジプト社会そして保守的な側面を垣間見ることができる非常に興味深い映画であった。ラディカルなイスラム聖職者と彼らに悪と見なされるポップスターが結びついたユニークな内容。またこの若いイスラム教指導者の自己の旅は、聖職者という括りだけでなく誰もが共感できるものである。

上映の後に監督の質疑があったのだが、出演俳優は皆エジプトでは有名俳優だそうだ。確かに、皆印象深い演技だった。またマイケル・ジャクソンの楽曲使用許可を打診したそうだが頑なに断られたという。監督は編集時にこれは指導者の内面の話なので逆にマイケル・ジャクソンの楽曲は必要ないと悟ったそうだ。確かにマイケル・ジャクソンの曲が途中で流れると話の軸がそれてしまいそうだ。

イスラム教という世界が舞台でありながらも誰にでも共通する主旨なので万国共通して受け入れられ楽しめる作品だと思う。

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