29 December 2017

Happy End / ハッピー・エンド

by Michael Haneke 2017 France, Austria

ミヒャエル・ハネケの新作「ハッピー・エンド」、フランスのカレーに住むブルジョワ階級3世代に渡るローラン一家を描いている。勿論サイコパスを描くと最高のミヒャエル・ハネケの作品なので、このローラン一家のそれぞれのメンバーも人には言えない秘密を抱えている。

一家の家長である80歳の認知症を患い始めたジョルジュ、ジョルジュから建築会社を継いだ娘のアン、アンの息子で建設会社で監督業をするピエール、アンの兄弟で医者のトーマス、トーマスと前妻の間の娘ティーンのイブ、ローラン家の住み込み手伝いモロッコ人の夫婦、トーマスの妻と生まれたばかりの子供、カレーに住む移民と多くの人物像が描かれているが、真核は壊れた家族の群像劇でありまた皮肉で冷たいコメディー要素も含んでいる。この普遍的な人間が抱える闇の部分が、現代のコミュニケーションのツールであるメールやSNSやビデオチャットが画面全体に映し出される事により現代の社会病がより際立っている。

アンはイザベル・ユペール、ミヒャエル・ハネケの作品でこの手の役柄はさすが文句なし。作品全体としてはクライマックスを除いてはやや退屈気味であったが、まあ日常に潜む病という事では監督の意図が十分に理解できる、とはいいつつ長いと感じた作品であった。

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