20 January 2018

Three Billboards Outside Ebbing, Missouri / スリー・ビルボード

by Martin McDonagh 2017 USA

番宣を見て以来今期一番楽しみにしていた「スリー・ビルボード」、想像していた以上にシリアスな内容だったがブラックユーモアも多く含みやはり期待通りのものであった。

ミズーリ州のド田舎エビングに住むミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)、7か月前に娘をレイプ殺害され未だに犯人が捕まっていない事に怒り悲しんでいる。ある日ミルドレッドは路上沿いにある廃れた3つの広告看板に気づく。捜査が進まない怒りを、警察署長であるウィロビー保安官(ウディ・ハレルソン)を名指しにした告訴をこの広告看板に上げた事によりエビングの住民の間で亀裂が起きる。

この作品のテーマは怒りが怒りを呼ぶという、怒りの連鎖。監督のマーティン・マクドナーは意識していたのかどうか分からないが、いかにも現在の社会状況、特にアメリカ社会を象徴しているかのような内容である。エビングはまるでトランプ・ランドを見ているようだ。断ち切れないこの怒りの連鎖、このまま自滅して行くのか?断ち切ることが出来るのか?この作品のキャラクターを通して物語が語られる。

フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、差別主義でレッドネックのジェイソンを演じたサム・ロックウェルが好演。特にフランシス・マクドーマンドが演じた母ミルドレッド、彼女にから発せられる言葉には悲しみとほとばしる怒りの激しさが強く感じられるが、これが皮肉なユーモアと融合され不思議な親近感を彼女に覚える。監督のマーティン・マクドナーは初めて知った監督、調べてみると舞台で活躍していた英国人出会った。

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