18 December 2019

Rocco and His Brothers / 若者の全て

by Luchino Visconti 1960 Italy

先日観たオペラ「ベニスに死す」の影響からか久々にビスコンティの「若者の全て」が観たくなった。かなり昔に観た以来なので内容はうろ覚え状態。キャストにアラン・ドロンやクラウディア・カルディナーレ、アニー・ジラルド、音楽にニノ・ロータとその豪華さに驚いた。流石ビスコンティ、モノクロながらも若さに力がみなぎる男兄弟達が鮮明に描かれていた。特に若かりし頃のアラン・ドロンのストイックな魅力がなんともいい感じ。南イタリアのプーリアから息子長男を慕ってミラノに移住した未亡人の母とその4人の息子達の生き様が描かれている。どこの国もどの家族も同じ様に、兄弟の性格はそれぞれに違っている。長男は普通に家庭を持って暮らし、次男はボクサーとして成功すると思いきや女にハマりどん底に、三男は正統派で独学高校卒業単位を得て定職、アラン・ドロン演じる四男ロッコはストイックで真面目であくまでも優しい性格だがボクサーとして頭角を表し勝利を次々と収め、まだ子供の五男は上の兄達の姿を見ながら成長していく。貧困のイタリア南部そして産業化で発展する裕福な北部の対比、そして労働階級の厳しさを描いた社会派の作品であり、ネオレアリズモを継承している。
ボクシングのシーンが多くあるのだが、スコセッシの「レイジング・ブル」は多分ここからインスピレーションを受けたと思える。やはり昔のイタリア映画はいいなぁと実感した。

No comments: