25 January 2020

1917 / 1917 命をかけた伝令

by Sam Mendes 2020 UK/USA

サム・メンデス監督の新作「1917」、1917年4月第一次世界大戦中ほぼ遂行不可能なミッションを課される二人のイギリス人将兵の話である。西部戦線の前線を進行していくイギリス軍連隊1600名、ドイツ軍が後退した後を追うが実はこれは仕掛けられた罠であった。いかなる連絡方法が寸断され、この1600名の命を虐殺から救う為、この連隊を率いるマッケンジー大佐に早急にメッセージを届ける任務を任されたトム(ディーン・チャールズ・チャップマン)とウィル(ジョージ・マッケイ)は連合軍とドイツ軍の間に広がるNo Man's Land / 無人地帯を突き進んでいく。

作品全体がまるでワンテイクの様に撮影されている。特に塹壕内を突き進んでいくこの二人の若い将兵を追うカメラワークは見事で、あたかも見ているものの目の前で起こっているかの様である。とにかくDPのRoger Deakinsのカメラワークは素晴らしいものであった。話の方は、最後の部分が多少ながら夢物語的になってしまい個人的にはイマイチとなってしまった。

西部戦線はベルギー北海からフランスのスイス国境まで続く広範囲に渡るものであった。100万人が犠牲となったソンヌの戦いもこの西部戦線である。この作品でも死傷者がいたるところに無残に転がっている戦闘跡、破壊された村々、川辺に重なり合う死体と目を覆いたくなるシーンだらけだ。本当にこんな時代に生まれなくてよかったとつくづく思わせる作品であった。

No comments: